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皮脂の詰まりとニキビの違いは?面皰と炎症の段階で見分ける

「毛穴の詰まり」と「ニキビ」は別物のように語られますが、実は同じ毛穴トラブルの段階違いであることが少なくありません。この記事では、皮脂と角質がたまった非炎症の「詰まり(面皰)」と、赤みや膿を伴う「炎症性のニキビ」を区別します。色・触感・炎症の有無という自分で見える手がかりで見分けます。どこからが皮膚科に相談する目安になるかを、学会ガイドラインなどの情報にもとづいて中立的に整理します。特定の商品や治療をすすめるものではありません。

目次

「詰まり」と「ニキビ」の違いを一言でいうと

詰まりは炎症のない面皰、ニキビは赤みや膿を伴う段階を指すことが多く、両者は地続きの毛穴トラブルです。

日常語の「詰まり」は、角栓や面皰など炎症のない状態を指します。「ニキビ」は、赤みや膿を伴う炎症段階を指して使い分けられることが多い言葉です。面皰(めんぽう)とは、毛穴に皮脂がたまった状態のことです12

医学的には、面皰(詰まり)も紅色丘疹・膿疱(炎症)も、同じ尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう。にきびの医学名)という慢性の炎症性疾患の、連続した段階です1。これはにきび診療の文脈での整理で、毛穴一般の話ではありません。だから「詰まりは無害でニキビは病気」という単純な二分ではなく、進み方の段階が違うと捉えると整理しやすくなります1。なお、治す・防ぐを主語にできるのは医療や肌の生理のはたらきで、日々のケアでできるのは悪化させない土台づくりまでです。

詰まりの正体は「面皰」──角栓と白・黒

毛穴に皮脂と角質がたまり出口がふさがった非炎症の状態が面皰で、白と黒の二種類があります。

面皰は、脂腺の活動が高まり、毛穴の出口(漏斗部)の角化が過剰になって皮脂がたまった状態です1。出口が閉じたものが閉鎖面皰(白)、開いたものが開放面皰(黒)です1。黒く見えるのは、皮脂の酸化やメラニンによるもので、汚れそのものが黒いわけではありません23

角栓は、タンパク質が約7割、皮脂が約3割とされます45。皮脂だけのかたまりではないため、洗うだけでは落ちにくいと考えられます。目に見える面皰の前には、肉眼では見えない微小面皰という先行する変化があるとされます1。なお、毛穴に元々ある程度の皮脂がある状態(顔は脂腺性毛包が高密度)自体は病気ではなく、なくす対象ではありません67。白い閉鎖面皰と白い角栓の関係は白い角栓と黒い角栓の時間差の解説で扱っています。角栓を取ることの考え方は取れる方法と取ってよい方法の整理で扱っています。

炎症を伴うニキビ──紅色丘疹と膿疱の段階

面皰に炎症が加わり、赤いブツブツや膿をもつ状態に進んだ段階が、炎症を伴うニキビです。

面皰に炎症が加わると、赤く盛り上がった紅色丘疹(こうしょくきゅうしん)や、膿をもった膿疱(のうほう)になります1。これが炎症性皮疹と呼ばれる段階です。尋常性痤瘡は慢性の炎症性疾患で、炎症が軽快したあとにも瘢痕(はんこん。へこんだ跡)を残すことがあります1

炎症のあとには、炎症後色素沈着が残ることもあります。表皮の型なら数か月〜1年ほどで薄くなりうる一方、紫外線で悪化するため遮光が基本とされます8。この炎症の段階を自分で押し出すと悪化させやすく、治す主語になるのは医療です9

毛穴トラブルを生理的な皮脂・非炎症の詰まり(面皰)・炎症性(紅色丘疹や膿疱)の段階で並べ、赤みや痛みの有無を受診を考える境目として示した段階図。
毛穴トラブルを生理的な皮脂・非炎症の詰まり(面皰)・炎症性(紅色丘疹や膿疱)の段階で並べ、赤みや痛みの有無を受診を考える境目として示した段階図。

自分で見分けるポイント(色・触感・炎症の有無)

色・触感・赤みや痛みの有無を手がかりに、非炎症の詰まりか炎症性のニキビかを大まかに見分けられます。

見分けの手がかりは3つです。まず色です。白っぽい点や黒い点は面皰(詰まり)寄り、赤みや黄色い膿があるものは炎症寄りです21。次に触感です。ザラつく小さな盛り上がりは面皰、押すと痛い・熱っぽいは炎症のサインになりやすいです1。そして、赤みや痛みといった炎症の有無が、最大の手がかりです1

なお、詰まりに見えても別物のことがあります。毛穴の影や産毛、脂腺増殖症(中高年に多い良性の小さな盛り上がり)、酒皶などです10111。判断が難しいときは、受診で確認しましょう。角栓ではない別の要因は角栓ではない別の原因を疑う視点の整理で扱っています。

受診を考える目安──炎症・跡・繰り返し

炎症や痛みがある、跡が残る、繰り返す場合は、自己処理より皮膚科での相談が向いています。

赤み、膿、痛みなどの炎症がある、跡が残りそう、同じ場所を繰り返す。こうした場合は、皮膚科で相談する段階の目安です18。自分で押し出すのは、跡が消えない、かえって目立つ、痛む、感染などのリスクがあり、避けたい行為です9。医療機関で面皰を押し出す面皰圧出は保険適用がありますが、これは医療行為で、自己流の押し出しとは別のものです1

尋常性痤瘡は保険診療の対象になり得る疾患で、美容目的の毛穴ケアは自費が一般的です1。目的によって、医療の入口が変わります。相談先の選び方は黒ずみの相談先を科で選ぶ考え方で扱っています。肌の生まれ変わり(ターンオーバー)は一般に約28日周期とされますが、数え方により諸説があります1213。状態の変化を見るには、数か月単位で捉えるのが目安です。

痛みのない詰まりも「ニキビ」と呼んでよいですか?

医学的には、痛みのない面皰(詰まり)も、にきび(尋常性痤瘡)という一つの病気の初期段階に含まれます。日常では炎症のない状態を「詰まり」、赤みや膿を伴う状態を「ニキビ」と呼び分けることが多いものです。どちらの言い方も間違いではありません。区別して考える実益は、炎症があるかどうかにあります。

同じ場所に詰まりと赤いニキビが混ざっています。どう考えればよいですか?

面皰(詰まり)と炎症性の皮疹が混在するのは、よくある状態です。尋常性痤瘡では複数の段階が同時に存在します。炎症のあるものほど悪化しやすいため、こすったり押し出したりして刺激しないことが基本です。範囲が広い、繰り返す、跡が残りそうな場合は、皮膚科で相談する段階と考えると整理しやすくなります。

「面皰」と「角栓」は同じ意味ですか?

面皰は、毛穴に皮脂がたまり出口がふさがった状態を指す医学用語で、その中身にあたるのが角栓です。面皰には、出口の閉じた白い閉鎖面皰と、開いて黒く見える開放面皰があり、いずれも炎症のない段階です。角栓は日常語、面皰は診療で使われる呼び方という違いがあり、指しているものはほぼ重なります。

まとめ:境目は「炎症の有無」です

皮脂の詰まり(面皰)と炎症を伴うニキビは地続きで、赤みや痛みの有無が受診を考える境目になります。

詰まりは炎症のない面皰で、白と黒があります。これに炎症が加わると、紅色丘疹や膿疱の段階に進みます。色・触感・炎症の有無で大まかに見分けられます。ただし炎症や跡、繰り返しがあるときは、自己処理より皮膚科での相談が向いています。押し出さず、こすらず、迷ったら医療で確認するのが確実です。

出典


  1. 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン策定委員会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」日本皮膚科学会雑誌 133巻3号 407-450頁(2023) https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/zasou2023.pdf 

  2. マルホ「ニキビの原因と種類|ニキビ一緒に治そうProject」 https://www.maruho.co.jp/kanja/nikibi/step1.html 

  3. ロート製薬「『毛穴の黒ずみ(角栓)』の原因・症状、予防法を解説」 https://jp.rohto.com/learn-more/bodyguide/kurozumi/pores/ 

  4. 菊池麻実子「角栓洗浄がもたらす皮膚への影響 -皮膚表面での酸化ストレスに着目-」オレオサイエンス 第22巻第9号 459-464頁(2022) https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/22/9/22_459/_pdf/-char/ja 

  5. 健栄製薬「毛穴の白いニョロニョロの正体は角栓!原因や間違った対処法、適切なケア方法を紹介」 https://www.kenei-pharm.com/lumild/column/dry_skin/column03/ 

  6. 日本化粧品技術者会「化粧品用語集 脂腺性毛包」 https://www.sccj-ifscc.com/library/glossary_detail/737 

  7. 日本化粧品技術者会「化粧品用語集 皮脂」 https://www.sccj-ifscc.com/library/glossary_detail/1364 

  8. Lawrence E, Syed HA, Al Aboud KM「Postinflammatory Hyperpigmentation」StatPearls, NCBI Bookshelf https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK559150/ 

  9. American Academy of Dermatology「Pimple popping: Why only a dermatologist should do it」 https://www.aad.org/public/diseases/acne-and-rosacea/pimple-popping-why-only-a-dermatologist-should-do-it 

  10. DermNet「Enlarged pores」 https://dermnetnz.org/topics/enlarged-pores 

  11. DermNet「Sebaceous hyperplasia」 https://dermnetnz.org/topics/sebaceous-hyperplasia 

  12. 日東メディック 肌周期研究所「肌周期とは」 https://www.nittomedic.co.jp/hada-shuuki/article/18 

  13. ターンオーバーの周期には諸説があり、数え方(どこを起点にカウントするか)によって日数は異なります。基底層で細胞が生まれ育つ期間を含めると約45日、表皮で細胞が育つ段階から数えると約28日とされます。いずれも数え方の違いによる目安の値です。参考: 美的.com「周期は28日? 45日? 知ってるようで知らないターンオーバーの話」(スキンケア科学者・次田哲也博士) https://www.biteki.com/skin-care/trouble/2098437 

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