鼻の黒いポツポツ、いわゆる「いちご鼻」は、中学生の時期に気になり出す人が少なくありません。思春期は皮脂の分泌が再び増える時期にあたり、毛穴に角栓(皮脂と古い角質が混ざった詰まり)ができやすくなるためです。この記事は特定の商品やクリニックをすすめるものではありません。なぜ中学生に多いのか、どんなケアが逆効果になりやすいのか、どこからが医療の領域かを、やさしく整理します。強く取ることより「触らない・こすらない・必要なら大人に相談」という考え方を軸にまとめます。
中学生のいちご鼻はなぜ目立ちやすいの?
思春期は皮脂の分泌が再び増える時期で、角栓が毛穴に詰まりやすく黒ずみが目立ちやすくなります。
皮脂の分泌には、年齢による変化があります。新生児期に多く、小児期に少なく、思春期に再び増えていきます1。この調節は、主に性ホルモンによるものです1。中学生の時期に気になり出すのは、この発達段階の一時的な波によるところが大きいのです。皮脂が増える仕組みは皮脂が増える仕組みと洗いすぎの落とし穴で扱っています。
毛穴の詰まり(角栓)は、皮脂だけのかたまりではありません。角栓の約7割がタンパク質、約3割が皮脂という報告が伝えられています23。黒く見えるのは、詰まった角栓が酸化したり、メラニンが関わったりするためで、汚れがこびりついているからではありません45。毛穴に皮脂がたまる仕組みは、にきび(尋常性痤瘡)の診療の文脈で説明されます6。皮脂腺の活動が高まり、毛穴の出口の角化が進むことで起こるとされます6。

中学生がやりがちで逆効果になりやすいケア
無理に押し出したり剥がすパックで取るケアは、肌を傷つけて跡や炎症につながることがあります。
早く取りたい気持ちから、強いケアに手が伸びがちです。しかし、自分で角栓や芯を押し出すと、リスクがあります。米国皮膚科学会は、消えない痕、かえって目立つ状態、より痛む状態、感染の4つを挙げています7。剥がすタイプの毛穴パックも、必要な皮脂や角質まで一緒に取り除き、肌を傷めるおそれがあります4。
強い力でこすると、毛穴を傷つけて広げる可能性があります3。1日に何度も洗う、こするといった行為も、刺激となって悪化につながることがあります8。酸を使う角質ケア商品では、化学やけどなどの相談が報告されています9。酸のケミカルピーリングを業として行うことは、医行為にあたるとされます9。医療機関で行う面皰圧出と、家庭での自己流の押し出しは別のものです67。
中学生に向く毎日のやさしいケア
洗顔は朝と夜の1日2回、指の腹でやさしく洗い、ぬるま湯ですすいで保湿するのが基本です。
やることは、強く取ることではありません。洗顔は朝と就寝前の1日2回、指の腹で軽く円を描くようにやさしく行い、ぬるま湯ですすぎます8。にきび診療の文脈では、洗顔1日2回でスクラブの有無に差はなく、オイルクレンジングで悪化する根拠もないとされています6。
乾いた肌は刺激を受けやすいため、洗顔後は保湿します8。詰まりが気になる場合は、油分の少ない(オイルフリー)タイプが選択肢になります10。化粧品はノンコメドジェニック配慮のものを選ぶという考え方もあります。油性で面皰を作りやすい化粧品は、悪化させることがあるとされます6。押し出さない鼻の角栓ケアの基本は避けたいNGケアと角栓の正体で扱っています。
「治す」のはセルフケア?医療?受診の目安
毛穴づまりや炎症を治すのは医療の領域で、痛みや赤みが続くときは受診も選択肢になります。
ここは線引きが大切です。面皰や炎症性皮疹(紅色丘疹・膿疱)に対する外用薬は、医療の領域で用いられます6。にきび(尋常性痤瘡)は慢性の炎症性疾患で、炎症が軽快した後に瘢痕(あと)が残ることがあります6。こじらせる前の相談が、選択肢になります。
痛み、赤み、膿を伴うにきびが続くときは、受診の目安です。保険診療の対象は疾患としての痤瘡で、美容目的の毛穴ケアは自費が一般的とされます6。中学生は無理に自分で治そうとせず、保護者に相談したうえで受診も選択肢に入れるとよいでしょう67。剥がすパックの負担は剥がす毛穴パックのデメリットと戻る仕組みで詳しく扱っています。
焦らないための時間の目安
肌の生まれ変わりには時間がかかり、変化を見るにはおよそ2〜3ヶ月を目安に考えます。
肌の生まれ変わり(ターンオーバー)は一般に約28日周期とされますが、数え方により諸説があります1112。数日で大きく変わるものではありません。実感の判定には、2〜3周期=2〜3ヶ月を目安にしてください。
焦って強いケアに戻ると、刺激が積み重なって遠回りになります。続けるのは、やさしい洗顔と保湿、そして触らないことです。気になる症状が続くときは、大人に相談して皮膚科・美容皮膚科への受診を選択肢に入れましょう。相談先の選び方は黒ずみの相談先を科で選ぶ考え方も参考になります。
中学生でも皮膚科を受診してよいですか?
受診に年齢の制限はなく、中学生でも皮膚科に相談できます。痛みや赤みを伴うにきびは、疾患として保険診療の対象になり得ます。まずは保護者に相談し、気になる症状があるときは受診を選択肢に入れてください。
中学生も化粧水や乳液で保湿したほうがよいですか?
乾いた肌は刺激を受けやすいため、洗顔後の保湿は役立ちます。詰まりが気になる場合は、油分の少ないタイプが選択肢です。たくさん重ねるより、こすらずやさしくなじませることを優先しましょう。
思春期のいちご鼻は大人になると自然に落ち着きますか?
皮脂の分泌はピークを過ぎると減っていくとされ、思春期の悪化は落ち着くことがあります。ただし個人差があり、自己流の強いケアで跡を残すと長引くこともあります。焦らず、やさしいケアを続けることが土台です。
まとめ:中学生こそ「触らない・やさしく・相談」
中学生のいちご鼻は思春期の皮脂の波によるもので、強く取るより、触らずやさしく続けるのが近道です。
思春期は皮脂が増える時期で、角栓が詰まりやすくなります。押し出しや剥がすパックは、跡や炎症の出発点になり得ます。洗顔は1日2回やさしく、保湿と遮光を土台に。痛みや赤みが続くときは、大人に相談して受診も選択肢に入れてください。
出典
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北海道大学大学院医学研究院 皮膚科学教室「皮膚の構造と機能 E. 付属器」(公開PDF) https://www.derm-hokudai.jp/wp/wp-content/uploads/2021/12/1-09.pdf ↩↩
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菊池麻実子「角栓洗浄がもたらす皮膚への影響 -皮膚表面での酸化ストレスに着目-」オレオサイエンス 第22巻第9号 459-464頁(2022) https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/22/9/22_459/_pdf/-char/ja ↩
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健栄製薬「毛穴の白いニョロニョロの正体は角栓!原因や間違った対処法、適切なケア方法を紹介」 https://www.kenei-pharm.com/lumild/column/dry_skin/column03/ ↩↩
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ロート製薬「『毛穴の黒ずみ(角栓)』の原因・症状、予防法を解説」 https://jp.rohto.com/learn-more/bodyguide/kurozumi/pores/ ↩↩
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マルホ「ニキビの原因と種類|ニキビ一緒に治そうProject」 https://www.maruho.co.jp/kanja/nikibi/step1.html ↩
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尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン策定委員会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」日本皮膚科学会雑誌 133巻3号 407-450頁(2023) https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/zasou2023.pdf ↩↩↩↩↩↩↩↩↩
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American Academy of Dermatology「Pimple popping: Why only a dermatologist should do it」 https://www.aad.org/public/diseases/acne-and-rosacea/pimple-popping-why-only-a-dermatologist-should-do-it ↩↩↩
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American Academy of Dermatology「10 skin care habits that can worsen acne」 https://www.aad.org/public/diseases/acne/skin-care/habits-stop ↩↩↩
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国民生活センター「酸を使ったフットケア商品-角質ケアをうたった商品で化学やけどやひどい痛みも!-」報道発表資料(平成31年3月7日) https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20190307_2.pdf ↩↩
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DermNet「Folliculitis」 https://dermnetnz.org/topics/folliculitis ↩
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日東メディック 肌周期研究所「肌周期とは」 https://www.nittomedic.co.jp/hada-shuuki/article/18 ↩
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ターンオーバーの周期には諸説があり、数え方(どこを起点にカウントするか)によって日数は異なります。基底層で細胞が生まれ育つ期間を含めると約45日、表皮で細胞が育つ段階から数えると約28日とされます。いずれも数え方の違いによる目安の値です。参考: 美的.com「周期は28日? 45日? 知ってるようで知らないターンオーバーの話」(スキンケア科学者・次田哲也博士) https://www.biteki.com/skin-care/trouble/2098437 ↩
