皮脂が過剰になる原因は?ホルモン・年齢・洗いすぎを整理

皮脂が過剰になる原因は?ホルモン・年齢・洗いすぎを整理

夕方、ふと鏡をのぞくと額や鼻が光っている。ちゃんと洗っているのに、どうして自分だけこんなにテカるのだろう——そう感じて検索してきた方もいるでしょう。テカリや毛穴の悩みの背景には、皮脂の多さが関わっています。ただ、その皮脂の量は、あなたの努力が足りないから決まっているわけではありません。この記事では、皮脂の量を決めている要因を、ホルモン・年齢・部位・食べ物・洗い方の順に、編集部と一緒に整理していきます。結論から言うと、皮脂の量の大部分は体の仕組みで決まっており、日々のケアで動かせる範囲は限られます。だからこそ、動かせる部分に力を注げば、焦らず向き合っていけます。

目次

皮脂が過剰になる原因は?主な調節役は性ホルモンです

皮脂の量を主に調節しているのは性ホルモンで、そこに年齢や部位、洗い方の影響が重なります1。

皮脂は、毛穴に付属する脂腺(しせん)という組織で作られます。皮膚科の教材によれば、皮脂量の調節は主に性ホルモンが担うとされています1。男性ではテストステロン、女性では副腎アンドロゲンが重要とされています1。アンドロゲンとは、男性ホルモンの働きを持つホルモンの総称です。つまりテカリの根っこには、意思ではどうにもしにくいホルモンの働きがあるということです。

学会のガイドラインも、にきびを慢性の炎症性疾患と位置づけています3。関わる要素の1つには、脂質代謝異常(内分泌的因子)が挙げられています3。内分泌的因子とは、ホルモンによる調節のことです。

だから、皮脂の多さは、あなたの洗い方が足りないから起きているのではありません。これは意思の問題ではなく、仕組みの問題です。まずは、自分では変えにくい部分がかなり大きいと知っておく。ここが、遠回りをしないための出発点になります。黒ずみが主な悩みの場合は毛穴の黒ずみのタイプ別の対処で扱っています。この体の仕組みを日々のケアへ当てはめるには、肌表面でできることと皮脂分泌の境界を整理した解説も参考にしてください。

皮脂の量は年齢で変わり、ピークは男女で違います

皮脂の分泌量は年齢で変化し、女性は10〜20歳代、男性は30〜40歳代にピークを迎えるとされます1。

同じ教材は、皮脂の一生をこう描いています。新生児では多く産生され、小児期でいったん少なくなり、思春期から再び増えはじめます1。そのうえで、女性では10〜20歳代に、男性では30〜40歳代にピークを迎え、以後は減少していくとされています1。

ここは、見落とされやすいところです。女性が「10代の頃よりは落ち着いてきた」と感じるまさにその時期に、男性は逆にピークへと向かっていきます。30代を過ぎてテカリが気になりはじめても、それは生理的な経過として説明がつく変化です。自分の体がおかしくなったわけではありません。

年齢による変化は、数週間で急に動くものではありません。だからこそ、ケアを見直したときの実感の判定には、少し長い目が要ります。ターンオーバー2〜3周期=2〜3ヶ月を見るのが目安です56。焦って答えを急ぐより、この時間の物差しを持っておくと、途中でぶれずにすみます。

皮脂が多い部位は決まっています

脂腺の数は通常100個/cm2以下ですが、Tゾーンなどの脂漏部位では400〜900個/cm2と多くなります12。

脂漏部位(しろうぶい)とは、皮脂の分泌が盛んな場所のことです。皮膚科の教材は、被髪頭部や顔面(前額、眉間、鼻翼、鼻唇溝などのいわゆるTゾーン)、胸骨部などを挙げています1。化粧品技術者会の用語集も、脂漏部位では400〜900個/cm2と多くなり、脂腺も大きいと、同じ値を記載しています2。

鏡の前で、頬はさらりとしているのに鼻だけがテカる。同じ一つの顔なのに部位で状態が違うのは、不思議でも異常でもなく、自然なことです。用語集は、皮脂量には大きな個人差があり、影響する因子として性、年齢、部位を挙げています2。顔全体を一律に扱うより、部位ごとに見てあげるほうが、実態に合っています。鼻の毛穴が気になる場合は避けたいNGケアと角栓の正体で詳しく扱っています。額のテカリについてはおでこのテカリの原因と額が光りやすい理由で解説しています。

食べ物で皮脂は変わるのでしょうか

学会は、にきび診療の文脈で、特定の食べ物を一律に制限することは推奨しないとしています3。

チョコレートや揚げ物を我慢すべきなのか。好きなものを控えてまで、と身構えている方もいるでしょう。でも、まずは肩の力を抜いて大丈夫です。学会のガイドラインは推奨度C2で、特定の食べ物を一律に制限することは推奨しないと明記しています3。理由として、現時点では特定の食物が悪化因子であるとする明確な証拠はない、としています3。

個別の食品についても記述があります。チョコレートが悪化因子になることは否定されており、砂糖とも関係しないことが示されているとされます3。牛乳については研究があるものの、反論が多く追試が必要と考えられる、という扱いです3。

ただし、何を食べてもよい、という話でもありません。同じガイドラインは、極端な偏食は避け、バランスの良い食事を摂取することを推奨するとしています3。特定の食品を一つずつ敵視して気を張るより、偏りをなくすほうが、ずっと続けやすく実際的です。

洗いすぎは皮脂を減らす方向には働きません

洗う回数を増やすほどよいという関係はなく、刺激が重なることでかえって悪化しうるとされます4。

「洗いすぎると乾燥して、かえって皮脂が増える」——よく見かける説明です。けれど編集部が調べたかぎり、この”皮脂が増える”という経路について、確かな根拠は見当たりませんでした。

米国皮膚科学会が説明しているのは、別の経路です。1日に何度も洗うことは肌をさらに刺激し、かえって悪化させうるとしています4。ゴシゴシとこすることも、同じように刺激になります4。そして、乾燥した肌は刺激を受けた肌であり、肌を刺激するたびに悪化のリスクが高まるとも述べています4。

つまり本当の問題は、皮脂が増えることではなく、刺激が積み重なっていくことのほうにあります。洗う回数は1日2回が目安とされ、指の腹でそっとなでるようにやさしく行い、こすらないことが基本です34。よかれと思って重ねた一回が、肌にとっては負担になっていることもあります。角栓そのものへの対処は角栓の取り方と医療の選択肢で整理しています。朝の洗顔をどうするかは朝洗顔をするしないの毛穴のための選び方で解説しています。クレンジングの時間と毛穴の関係はクレンジングの時間と毛穴の関係の整理で扱っています。皮脂が目立つ場所にかゆみもある場合は、ベタつきと症状を分けて記録し、皮膚科へ伝える手順も確認してください。

皮脂が多いのは体質ですか?

「結局は体質なの?」と感じるのは、無理もないことです。皮脂量には大きな個人差があり、影響する因子として性、年齢、部位が挙げられています。調節の中心は性ホルモンとされるため、体質という言い方は実態に近いといえます。だからといって、打つ手がないわけではありません。部位ごとの違いや洗い方は、あなたが見直せる部分です。

食べ物を制限すれば皮脂は減りますか?

学会のガイドラインは、にきび診療の文脈で、特定の食べ物を一律に制限することは推奨しないとしています。明確な証拠がないためです。好きなものを我慢して張りつめるより、極端な偏食を避け、バランスの良い食事を摂ることが推奨されています。

男性の皮脂が30代以降に気になるのはなぜですか?

皮脂の分泌量は、男性では30〜40歳代にピークを迎えるとされているためです。女性のピークが10〜20歳代とされるのに対し、男性は少し遅れてピークが来ることになります。年齢とともにテカリが増したと感じても、それは生理的な経過として説明がつく変化です。

まとめ:動かせる範囲と、動かせない範囲を分ける

皮脂の量は性ホルモンと年齢と部位でおおむね決まり、日々のケアで動かせる範囲は限られます。

変えにくいのは、ホルモンによる調節、年齢による推移、脂腺の密度が高い部位という3つです。一方で、あなたが見直せるのは、洗う回数と力加減、そして食事の偏りです。皮脂をゼロに近づけようと力めば力むほど、刺激が積み重なって遠回りになります。頑張る方向を、動かせる側へ振り向けること。それが、遠回りをせずにすむ向き合い方です。

毛穴の開きが気になる場合は毛穴の開きが治らないときの考え方が参考になります。テカリや毛穴の状態が続いて気になる場合や、繰り返すにきびを伴う場合は、一人で抱え込まず、皮膚科・美容皮膚科へ相談するのも確かな選択肢です。まずは、動かせる範囲と動かせない範囲を分けて考えるところから、一緒に始めていきましょう。

出典


  1. 北海道大学大学院医学研究院 皮膚科学教室「皮膚の構造と機能 E. 付属器」(公開PDF) https://www.derm-hokudai.jp/wp/wp-content/uploads/2021/12/1-09.pdf ↩↩↩↩↩↩↩↩

  2. 日本化粧品技術者会「化粧品用語集 皮脂」 https://www.sccj-ifscc.com/library/glossary_detail/1364 ↩↩↩

  3. 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン策定委員会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」日本皮膚科学会雑誌 133巻3号 407-450頁(2023) https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/zasou2023.pdf ↩↩↩↩↩↩↩↩↩

  4. American Academy of Dermatology「10 skin care habits that can worsen acne」 https://www.aad.org/public/diseases/acne/skin-care/habits-stop ↩↩↩↩↩

  5. 日東メディック 肌周期研究所「肌周期とは」 https://www.nittomedic.co.jp/hada-shuuki/article/18 ↩

  6. ターンオーバーの周期には諸説があり、数え方(どこを起点にカウントするか)によって日数は異なります。基底層で細胞が生まれ育つ期間を含めると約45日、表皮で細胞が育つ段階から数えると約28日とされます。いずれも数え方の違いによる目安の値です。参考: 美的.com「周期は28日? 45日? 知ってるようで知らないターンオーバーの話」(スキンケア科学者・次田哲也博士) https://www.biteki.com/skin-care/trouble/2098437 ↩

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